このまちに魅せられて。絶景の家に住みながら、建築家として三原の未来に期待すること

河口佳介(かわぐち けいすけ)さんは、15年ほど前、瀬戸内海を望み東から朝日が昇る筆影山のこの地を気に入り、自身の家を建築。建築家として注目を集めるきっかけとなったこの【瀬戸内の家】から眼下の絶景を臨みながら、ここでの暮らしから見えてきたもの、三原の将来について、語っていただきました。

 

 

 

この家で世に出られなかったら、それまで。建築家として挑戦した絶景の家

取材陣の車がエンジン音を立てながら坂道を登りきったその先に、建築家・河口佳介さんの自宅はありました。思わず感嘆の声が出るほどの絶景。2階へ上ると、壁面は360度ガラスとなっていて、瀬戸内海の島々や行き交う船までをも望むパノラマが広がります。柔らかな日の光が注ぐ立ち上がりには、愛猫3匹が思い思いの場所で寝転び、ガラスの壁の水平窓からは心地良い風が通り抜けていました。

この家で河口さんは暮らしています。
「もともとオートバイが趣味で、筆影山に登った時にたまたまこの空き地を見つけて、直感的にすごくいい場所だと感じた。海岸線がとても良くて。この辺りは東側に海があるから、海の色が青だし朝日が昇るのが見えるわけ。一日の中でも刻々と変わるし、四季の変化も楽しめる」

この家を通して、これから家を建てる人に本当の豊かさに気づいてほしかったと言います。「駅が近いとか、コンビニが近いとか、銀行の評価みたいなことより、自然と一体になって暮らすことの方が豊かじゃない?」。単純な利便性ではなく、目の前に広がる海や山、自然を感じられることこそが豊かな生活を送っていると言えるのではないかと話します。また、河口さんにはこの家が生活の豊かさとは何かを伝えることと同時に、自身を世に知ってもらえるきっかけになれば、という考えもありました。

「この家で世に出れなかったら、それまで」という覚悟と自信で挑んだこの【瀬戸内の家】はグッドデザイン賞を始め数々の賞を受賞、「知性と品格を磨く」がテーマのビジネスマン向けライフスタイル誌、「プラチナサライ」の表紙にも起用され、河口さんも広く世に知られる存在になります。

 

設計者とは、建築家とは、、、河口さんの理想と思い

現在、河口さんの元へは三原や福山だけでなく、全国各地から依頼が舞い込んでいます。
「仕事は全国、都会でもやるけど、生活はイノシシが出るような山の上で。デュアルライフでいいよね」
お施主様の希望はさまざまで、家族構成、予算、車、趣味、周囲の環境、標高…そんな多種多様な要望を全て解決するのが設計者であり、建築家であるといいます。

「いい住宅というのは、もつれた糸が一瞬で解けるように建つ」と、独特の表現をされました。制約がある時の方がいい家ができるとも言われるくらい、紐を解くような作業がこの仕事の面白みのようです。
今でこそ、理想とする仕事ができている河口さんですが、若い頃は葛藤もあったと言います。建築家としてのエリートコースは、都会のいい大学を出て、有名なアトリエに入ってから独立すること。地元で就職した河口さんは、就職した会社で自分に何ができるのか、ここで何ができるのかと自問した時期があったそうです。

「高い理想を掲げて、一段ずつ上がっていったら、ここまでこれた。信じて続けていれば、世の中に通じることがあるんだけど、なかなかそういうことができない世の中でもある。親がまず諦めちゃってるところもあるよね」。誰しもが初めは素人、やり続けていくことで「プロ」になれると河口さんは考えます。機会があれば、小学校で講演などもしたいとのこと。若い子が夢を持つこと、続けることへの大切さに気づくことができるようにと願います。

 

この景色はまさに宝。このまちの良さを知ってほしい

河口さんからは、三原が好き、三原の人が好きという言葉が何度も出てきました。「住む前から三原にはクライアントさんが多かったけど、三原の人は穏やかでじっくり話を聞いてくれる人が多い。だから住んでいる今、地元の人たちと居酒屋で語るのが楽しくて」
この家の住み心地を聞く時、「ここでしばらく過ごしてみてよ」と冗談交じりに返してくれました。ここに住んでいるからこそ、気づいたことがたくさんあるといいます。

「ここからの景色、風景は宝です。それをどう生かすかがこのまちの課題だと思います」
それは、瀬戸内海が日本遺産100選にも選ばれている景色であることを知ってほしい、本当の豊かさを知ってほしいという思いから。
「税金を使って何をするか、これからは、大きな花火を打ち上げるのではなく、一人一人が線香花火に火を灯すような施策が大切だと思う。大きな予算をドンと使うのではなく、市民一人一人に小さな予算を渡して一人一人が行動を起こしてくれるみたいな。例えば、飲食店ひとつからでも三原を盛り上げていってほしいね、この海岸線には人を呼べる要素があるはずだから」

河口さんはこれからも三原のまちに「建築マップができるくらい」自身の建築物を手掛けていきたいそうです。
このすてきなご自宅をクリエイターが集まる場所としても活用していきたいと語ります。建物と自然の調和、人と人とのつながりを大事にして、今後も意欲的に活動していきます。

 

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(担当窓口:三原市経済部観光課)
河口佳介(K2-DESIGN Inc.  代表取締役)
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